書道の美術館

恩師を憶う

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恩師を憶う

私の先生が去る9月26日に死去されました。時に93歳、従三位勲二等に昇叙されました。

私の先生は、豊道慶中、号を春海という天台宗の大僧正で、書の芸術院会員でありました。6歳の時から東京上野の寛永寺の坊さんになり、学問をしたり書を習ったりして、自分で自分の進むべき道を択ばれました。それで仏教の布教を書道に代えて、書をもって人間形成への道を 七十余年の永きに渉って進めて来られました。

私共門人は、先生が常にいわれており、そして、自ら実践された忍の一字を実行してきたものです。私も72歳ですが、先生のように忍の一字をこれから守って、生命のある限り道のために尽くしていく考えです。

(『中道』昭和45年11月号、『巻頭言集』P76)


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