日本では書道といいますが、中国では書法といっています。中国の学校の教育を見ますと、文字どおり書法を教えております。日本でも学校も書塾も書法を教えており同じことです。
しかし、幾年か過ぎた後になると、中国人は習った書法を基として自己を作っており、且つ粗雑な書き方をいたしません。
日本でも、中にはそうした人もおりますが、高等教育を受けるようになると、どうも怪しげなものになるようです。つまり粗雑になるからでしょう。
中国人は書を自己として大切に扱い、日本人は、わかればよい式になるからです。学校教育で書が軽視されるのも此処(ここ)にあると思われます。
書道と銘を打って書教育に携わるお互いは、一番想いを新たにして、書を通じて人間形成に努めようではありませんか。
(『中道』昭和40年5月号、『巻頭言集』P6) |